るい痩(るいそう)


 酒ばかりを飲み、食事はろくに食べないため、るい痩を認める(そうでない場合もある)。体はボロボロになりかけている(そうでない場合もある)。明らかに栄養失調である(しかし、栄養失調はない場合もある)。


るいそう
るいそう(羸痩、英: emaciation, 独: Abmagerung)とは、脂肪組織が病的に減少した症候をいう[1]。いわゆるやせ(痩せ、leanness, thinness)の程度が著しい状態であり[2]、症候であることを強調するためにるいそう症[3]、あるいは症候性やせ[4]などと称することもある。脂肪組織が過剰に蓄積した症候である肥満症(obecity)、あるいは症候性肥満(symptomatic obesity)と対極にある概念である[5]


栄養失調(るいそう)とはどんな病気か
 一般的に、標準体重より体重が20%以上減少している場合に、るいそうと診断されますが、過去6カ月以内にもともとの体重から10%以上減った場合も、臨床上問題になります。
原因は何か
 るいそうを起こす原因にはさまざまなものがあります。大きく分けて、(1)食事摂取量の減少、(2)消化吸収障害、(3)栄養素利用障害、(4)代謝亢進(こうしん)による熱量消費の増大があげられます。
 (1)では、アジソン病やシーハン症候群といった内分泌疾患や、神経性食欲不振症、うつ病統合失調症(とうごうしっちょうしょう)といった精神疾患、脳腫瘍(しゅよう)、悪性腫瘍や消耗性疾患(慢性的な炎症性疾患など)、さらには口腔(こうくう)を含めた消化管疾患に伴う食欲低下があげられます。
 (2)では慢性の下痢を伴う疾患、消化性潰瘍(かいよう)、慢性膵炎(すいえん)、膵腫瘍(WDHA症候群やゾリンジャー・エリソン症候群)、蛋白漏出性(たんぱくろうしゅつせい)胃腸症、吸収不良症候群や寄生虫などが認められます。
 また、(3)は糖尿病、(4)は甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)や褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)といった内分泌の疾患や慢性の感染症などで現れます。


  るい痩とは、体形が通常の範囲を超えて痩せていることで、なんらかの苦痛や不快感をともなっています。家族的・体質的に痩せていて元気であったり、鍛練によって痩せて強健なものは、るい痩の範疇には入りません。とくに原因がなく急速に痩せる場合は、悪性腫瘍や代謝疾患を疑うべきであり、専門医を受診する必要があります。熱病で飲食ができないために痩せることもありますが、主症状ではないので本項には含めません。