コリイ・ドクトロウ
昨日の流れでコリイ・ドクトロウについて調べていたら、こんなのを発見。
SF作家コリイ・ドクトロウがクリエイティブ・コモンズのライセンスでウェブ上に公開している短編「Scroogled」の日本語全訳です。翻訳版も原文のライセンスを継承しています。
タイトルの「 Scroogled 」は、「 google 」と「 screw(ed) 」の合成で、グーグルに計略を仕掛けられる、窮地に陥れられるというような意味になっているようです。
この短編の日本語版は、翻訳家の大嶋豊氏が訳されたバージョンもあります。ぜひご覧になってください。
http://d.hatena.ne.jp/ohshimayutaka/20080109
内容はまあ「すべての情報を収集しようとするGoogleは、やはり「ビッグブラザー」となってしまうのではないか…」というような話なんだけど、それを昨今のWebのニュアンスを上手く交えて描いてて、アイデア自体よりもそれを扱う手付きの巧さが際立つ部分は、ウィリアム・ギブスンやニール・スティーヴンスンを思わせる。
つか、コリイ・ドクトロウのWikipedia(残念ながら英語版。日本版は現在ない模様)を見ると、
Cory Doctorow (pronounced /ˈkɒri ˈdɒktəroʊ/; born July 17, 1971) is a Canadian blogger, journalist, and science fiction author who serves as co-editor of the blog Boing Boing.
げげっ。Boing Boingの編集者なのか。そりゃWebの技術やニュアンスについて詳しい筈だわ。
ちなみに上記の"Scroogled"に限らず、コリイ・ドクトロウはほとんどの著作をクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで発表しているらしく(もちろん『マジックキングダムで落ちぶれて』も)、そういう面でも現代的な作家のよう。
ただ、その現代性を評価する層とフツーのSFファンとでは評価も二分されるようで*1、それがクリエイティブ・コモンズでも翻訳が進まない原因なのかもね。