アレロパシー

アレロパシー―多感物質の作用と利用 (自然と科学技術シリーズ)


連作障害には様々な原因があり、またそれらが複合して現れるため対策は何かひとつ行なえば良いというものではない。例えば、土壌伝染性の病害、土壌養分の過不足、アレロパシー(他感作用、自分以外の植物の生育を抑制する)物質の蓄積による自分自身への障害などである。


アレロパシー
アレロパシー(英語: Allelopathy)とは、ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果の総称。邦訳では「他感作用」という。ギリシア語の αλληλων (allēlōn 互いに) + παθος (pathos 感受) からなる合成語である。1937年にドイツの植物学者であるハンス・モーリッシュにより提唱された。


アレロパシーについて知り始めると、自然界の多様性とバランスの不思議さに驚嘆せざるを得ない。従来、雑草 (と呼ばれる作物以外の植物) が忌み嫌われてきたのは、作物から養分や光を奪う存在であるから、というのが主な理由であったろう。ところがアレロパシーの影響を考慮すると、問題はそれほど単純ではないことが分かってくる。また、これまでもっぱら緑肥利用や土壌の保護などの面からのみ考えられることの多かったカバー クロップの類についても、植生や微生物相の遷移という視点からその可能性について探究することができるかもしれない。実際に耕作放棄地でヘアリーベッチライ麦を混植してみたことがあるが、畑地へと再転換を図るには格好の "starter" として働いてもらえるかもしれない、という感触を得ることができた。面白い本である。