泰山鴻毛

史記 全8巻セット (ちくま学芸文庫)


ところが、首相の答弁スタイルに変化はなし。首相が13日に「脱原発依存」を表明しながら2日後に「私個人の考え」と修正した問題で、岸信夫氏(自民)が「原発立地自治体は大変混乱しているが、どう考えているのか」と真意をただすと、首相は原発の安全性評価に関する統一見解をまとめた経緯を延々と説明したあげく、こう挑発した。


 「自民党の皆さんも批判は結構ですが、どういうルールが望ましいかぜひ提示してほしい」


 岸氏は「質問に誠実に答えてほしい」と促したが、首相は「今申し上げました通り…」と同じ答弁を繰り返すばかり。
 「脱原発」発言と自らが推進する原発輸出の整合性についてもまともな説明はなかった。塚田一郎氏(自民)は「コントロールできない商品を輸出するのは友好国への背信行為だ」と指弾したが、首相は「新成長戦略の見直しの中で議論すべきだ」と意味不明の答弁に終始した。
 あまりに不誠実な首相の対応に山谷氏は「鴻毛(こうもう)よりも軽い答弁」とあきれ顔。民主党出身の西岡武夫参院議長は21日の記者会見で不快感をあらわにした。
 「はぐらかしの答弁はもういいかげんにしていただきたい。首相は日本の国を滅ぼす気なのか。あえてそう言わざるをえない」


死(し)を鴻毛(こうもう)の軽きに比す
〔補説〕 「鴻毛」は鴻(おおとり)の羽毛で、きわめて軽いもののたとえ
(国家や君主のために)身をささげていさぎよく死ぬことは少しも惜しくない。命は鴻毛よりも軽し。


命(いのち)は鴻毛(こうもう)より軽し
司馬遷「報任少卿書」から。「鴻毛」は、鴻(おおとり)の羽毛で、きわめて軽いもののたとえ》命を捨てることは、少しも惜しくない。


『泰』は会意文字であり 「大」と「収」と「水」に従う
「大」は人の正面形 「収」は左右の手を並べた形で
人が水中に陥り これを両手で助け上げる形で
「安泰」の意となる 山名の「泰山」は古来
天子が封禅の礼を行う 第一名山である
「北斗」が天極にあって 動くことのないのと並んで尊ばれ
その方面の第一人者を 「泰斗」という
以上 平凡社刊 白川静著 「字統」より


「泰山鴻毛」(たいざんこうもう)の 「泰山」=中国山東省の名山で
重くゆるぎないもの 尊いことの例え
「鴻毛」=「鴻」(おおとり)の羽毛の意で 極めて軽いもののたとえであり
きわめて重いものときわめて軽いものの 隔たりが激しいことのたとえ
生命を重んずる場合と 進んで捨てねばならない場合とを
「泰山」と「鴻毛」に例えて 表されることが多い