愛のペガサス
ちょっと前に発見したAmazonの名レビュー。
1979年といえば、若きマイケル・ジャクソンがクインシー・ジョーンズのプロデュースとToToのメンバーの演奏で、大いに背伸びした大人サウンド、ほとんどAORといってもよさそうな粋でゴージャスなサウンドの『オフ・ザ・ウォール』を作っていたころ
一方、プリンスは当時まだほとんど無名。そして、たった一人で作詞、作曲、アレンジ、全ての楽器の演奏、ボーカル、コーラス、プロデュースまでやってこのアルバムを作り上げた
スティービー・ワンダーのような先人がいたとはいえ、ミネアポリスから出てきたばかりの二十歳そこそこのプリンスが独りカリフォルニアのスタジオでドラム、ベース、ギター、キーボードやパーカッションをプレイし、バッキングコーラスを重ねてこのアルバムの一曲一曲を完成させていく姿を思い描くと目頭が熱くなる
プリンスがお花畑の少女みたいにハジけたり悶えたりして歌い上げる「I WANNA BE YOUR LOVER」 は、曲自体は素晴らしくポップだし、シングルカットされて当時のR&B系のラジオ局でヒットしたらしいけど、同じ時期のマイケルのサウンドと比べると圧倒的にモッサリしてて、ダサさがある
しかしたぶん僕らがこの人 プリンスをアーティストとして人間としても愛してやまないのは、彼がこのモッサリ時代、ダサかった時代を経てドンドン冒険して自分のサウンドを見つけ出し、メジャーヒットした『パープル・レイン』を頂点にマイケルとは全然違う華を咲かせたから。そして、それでつかんだスターの座にしがみつかず 『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』や『パレード』のような作品を発表したからだろう
こういう人に対するインセンティブをもっとうまく与えられるような仕組みってないかな?