パタフィジック

アルフレッド・ジャリ―『ユビュ王』から『フォーストロール博士言行録』まで


Brfxxccxxmnpcccclllmmnprxvclmnckssqlbb11116とは、スウェーデンに住む夫婦が1991年に生まれた息子に名づけようとした名前である。読み方は「アルビン(発音は[ˈalbɪn])」。


命名の経緯 [編集]
この両親(エリザベス・ハリンとその夫)は、スウェーデンにおける命名に関する法律への抗議として、当初から自分の息子に法的に許容されるような名前を付けるつもりはなかった。その条文にはこう書いてある。


命名しようとする名前で、それを使用する人に不快感をもたらすものや、名前としてふさわしくない何らかの明確な理由のあるものは受理されない。
この問題の発端は、この両親が息子の5歳の誕生日まで彼の名前を届け出なかったことで、これによりスウェーデン南部ハルムスタードの地方裁判所から5000クローナ(約9万円)の罰金を科されたことにある。この処分に対して両親は1996年5月、「示唆に富む表現主義的な創作物で、私達は芸術的創造物の1つだと思っている」と主張してこの43文字にも及ぶ名前を届け出たが、裁判所はこの届け出を受理しなかった。この一連の出来事を不服とした両親はイェーテボリの上訴法廷に、「この名前はパタフィジック的精神で理解されるべきものである」として上訴したものの、上訴法廷はこの上訴を棄却すると共に、前述の罰金の支払い命令を支持した。


パタフィジック(または形而超学、空想科学、フランス語:'Pataphysique, 英語:'Pataphysics, パタフィジックス)とは、フランスの作家アルフレッド・ジャリの造語で、形而上学(フランス語:Métaphysique)の領域を超えたところにあるものを研究するために使われる哲学のこと。それは現代科学の理論・方法のパロディで、ナンセンス(Nonsense)な言い回しで表されることが多い。パタフィジックを行っている人をパタフィジシャン('pataphysician)またはパタフィジキスト('pataphysicist)という。


 詳しくは、ジャリ自身が次のように定義している。「付帯(エビ)現象とは、現象にさらに付け加わっているものである。バタフィジックの語源はエビ(メタ・タ・フジカ)と記されるに違いない〔訳注。エピもメタも「〜の後に来るもの」を示す接頭辞〕(中略)。 パタフィジックは、形而上学(メタフィジック)に──その内部にであれ外部にであれ──さらに付け加わっているものの科学であり、形而上学が物理学(フィジック)を超えて先へ広がっているのと同じだけ、パタフィジック形而上学を超えて先へ広がっている。そして、付帯現象はしばしば偶然の出来事であるから、パタフィジックは──科学と言えるのは普遍の科学だけだと言われようとも──特殊の科学になるであろう。 パタフィジックは、例外を支配する諸法則を研究し、この世界に追補される世界を解明するであろう。(中略)定義──パタフィジックは、虚数解の科学であり、仮想性によって記述される事物の輪郭と属性とを象徴的に一致させるものである。」