悪夢

いま住んでるマンションの筈なのに、外階段から見渡すと周りは砂浜だった。
しかもゴミだらけの汚い砂浜だ。
とりあえず砂浜に出ようとしたら、階段のすぐ下に男がいることに気づいた。鼻の横にデカいホクロがある、ジャージを着た男だ。
男が遠くから僕を舐めまわす視線が気持ち悪くて、「嫌だ」と思った途端、男が小走りに近づいて来た。
部屋に戻ろうと振り返ると、砂浜のゴミが、いつのまにかマンションにも達している。割れたガラスやクシャクシャのちり紙が。
遠くで叫ぶ女の声がする。何を云っているのかはわからないが、「気狂い女だ」と思ったその時、これは夢だと気づいた。
夢だと気づいた筈なのに、女の叫び声は止まず、男は、なおも近づいてくる。
たぶん、あのまま夢から醒めなかったら、気が狂っていたと思う。